製品に関する
お問い合わせ

コラム第4回:デザインと構造について

 一般的な「豪華に見える厚めのアルミパネルとボンネットカバーの組み合わせ」や「大きなトランスと大小の真空管がシャシーの上に立ち並ぶスタイル」を採用しませんでした。
前者は映画のセットの建物を連想させます。
後者には作り手の硬直したアンプ像と昔からの真空管アンプの音を連想させるのです。
ご家庭で音楽を聴くにはプレーヤー、アンプ、スピーカーが現在必要なものです。
しかしその大きさは出来るだけ小さい方が好ましいと思われます。
スタンダードサイズといわれる横幅430mm前後は業務用機器から取り付け部を除いた幅であり、音質のために求められ確立された大きさではありません。
そのため出来るだけ小さく作る事とその音質を保障できる大きさのせめぎあいで決定されてゆくものであると考えます。
真空管を増幅素子とするなら真空管の寿命を第一に考えるべきでしょう。

 シャシーの上に直立させた上にボンネットを被せるのでは冷却に問題があると考えます。
新鮮な空気が広い面に当るように真空管は横配置にすべきでしょう。
そうする事で筐体の高さも低くできます。
また真空管アンプのイメージを与え続けてきたトランスと真空管の並んだ形は作り手の作業の行い易さからのもので、音質の良さを求めたものでないと言えます。
ここにも業務用機器の影があります。
アンプが個人のものではなく映画館でのトーキー拡声器であった頃は冷却とアンプの保守点検上真空管は横配置であり、なんらかのトラブル時にはすぐに触れるように組み立てられていました。
音質以前の問題のために作りあげられたスタイルなのです。

 次に重視すべきはアースの問題でしょう。
一点アースの厳密な励行です。過去の真空管アンプの母線アース式は母線がどこでもアースであるという仮定の上に成立しています。この仮定の上に業務機の保守点検作業は成立していました。
実際は一点から放射状に配線しなければ静かなアンプにはなりません。ここでの静かの意味はS/N比の数値ではありません。聴感上の静けさを指しております。

 手配線の直付けではパーツのリード線の長さや浮遊容量の問題もあり一点アースは現実的ではありません。
その次の問題はアンプ内部の働きを理解した上で各部の分離と統合を明解にして構造を考える事が大事です。
特にシャシー内がひとつの部屋になっている場合は熱に弱いコンデンサーと動作上熱の出る抵抗器が混在する事や整流ダイオードの発生するノイズに無防備になっており音質の向上は望めなくなります。
それらの重要な案件を解決した上で音楽を聴く空間に置かれた時の風景まで考えた形が大切だと考えます。

 この考えに立ってMODEL 11、12は造られました。
両機とも真空管は横置きとしました。
その横置きされた真空管冷却部を中央部に配し増幅部と電源トランス部をその両側に置く事で電源ノイズからの影響を排しています。
またガラスエポキシ両面スルーホール基板を活用して一点アースーを確保しています。
基板上も抵抗器とコンデンサーを別面に配し熱問題が出ないよう組み上げられました。
外装には特に気を配りラウンドコーナーとし全体でひとつのデザインとなるようにしました。
フロントはサイドに回り込むようにして一体感を強調するようにしました。
取り付けねじが前や横には出ない構造とし機械らしさをできるだけ避けるようにしました。
サイドの前後パネルの接合部にはステンレス材を配しオブジェ的な面白さも考えました。
特にMODEL 12では電源部と増幅部が一体になった回路のためとチムニー効果を期待していままでの真空管パワーアンプにはないデザインを得る事ができました。


コラムトップページへ戻る

このページのトップへ戻る

Copyright(C) 2003-2005 Technocraft-Audiodesign. All rights reserved.